更年期障害や美容の悩みに対して、プラセンタ治療が有効だと聞いたことがありますか?プラセンタ治療とは厚生労働省に認可された治療法で、様々な健康問題や美容の悩みに対して幅広い効果が期待されています。
プラセンタとは何か、その効果や対象となる方について詳しく説明します。プラセンタ治療を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
■プラセンタ治療とは
プラセンタとは英語で動物の「胎盤」のことを指します。胎盤は妊娠中に母体と赤ちゃんをつなぐ重要な臓器です。母体から赤ちゃんに酸素や栄養を届け、赤ちゃんの老廃物を母体に戻す役割を果たします。
胎盤を食べる習慣
実は犬やネコ、サルなど、人以外の多くの哺乳動物や草食動物などは、出産後に胎盤を食べる習性があるのです。胎盤に豊富な栄養が含まれているため、出産で消耗した体力を早く回復させるためと考えられています。また、人間でも一部の地域や文化では出産後に胎盤を食べる風習があり、これを胎盤食といいます。
プラセンタの歴史
プラセンタは古くから薬として利用されてきました。胎盤には多くのアミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素などが含まれており、これらの成分が健康や美容に良いとされています。日本でも江戸時代に「混元丹」という薬に含まれていたり、漢方薬として「紫河車」として知られています。
1956年にプラセンタエキスを使用した注射薬「メルスモン」が登場しました。その後、1958年には「ラエンネック」という注射薬が肝硬変の治療薬として承認されています。
■プラセンタ治療による期待できる効果とは
プラセンタは、化学的に合成されたものではなく、生物から自然に生成される栄養成分が豊富です。たくさんの栄養素が含まれ、細胞や組織の代謝を助け身体の自然治癒力を高める効果があります。たとえば、10種類のアミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素、そしてムコ多糖類などが成分です。現在も多くの研究者が、プラセンタの効果について様々な角度から研究を続けており、医薬品や健康食品、化粧品など幅広い分野で活用されています。
日本で認可されているプラセンタ注射薬は、「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類です。
メルスモン
メルスモンは、ヒト胎盤由来の成分を含む医薬品です。内分泌を調整する作用や自律神経を調整する作用によって、更年期障害や乳汁分泌不全に効果が期待できます。更年期障害の症状は、ほてり、のぼせ、イライラ、疲労感などがあり、メルスモンはこれらの症状を緩和する効果があります。
- 更年期障害
- 乳汁分泌不全
皮下注射することで、細胞の呼吸を促進したり、傷の治癒を早めたり、疲労を軽減する効果があるとされています。ただし、作用機序(薬が治癒効果を発揮するための仕組み)については完全には解明されていません。これらの効果が身体全体の機能を活性化し、異常な状態を正常に戻すと考えられています。
美肌効果や美白効果も期待できますが、上記以外の目的での使用する場合は保険適用外です。
ラエンネック
ラエンネックは、ヒト胎盤から抽出された成分を含む医薬品で、主に慢性肝疾患の治療に使用されます。この薬は、肝細胞のDNA合成を促進し、傷ついた肝臓組織の再生を助けます。また、肝臓の線維増殖を抑制し、増えた結合組織を吸収することで、肝機能を改善します。使用方法は皮下注射、または筋肉注射です。
- 慢性肝疾患における肝機能の改善
メルスモンと同じように、更年期障害の改善、美肌効果などが期待できますが肝機能障害の改善以外の目的での使用は自費診療になるため注意しましょう。
■プラセンタ治療の対象となる方
プラセンタには、体内の酸化ストレスを軽減し、細胞のダメージを防ぐ効果があります。また、炎症を抑えることでさまざまな炎症性疾患の改善に役立ちます。細胞の老化を遅らせ、若々しい状態を保つのにも効果的です。
- 更年期障害
- 乳汁分泌不全
- 肝機能障害
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 自己免疫疾患
- アレルギー疾患(花粉症,アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など)
- 慢性疲労
- 冷え性、肩こり、腰痛
- 肌あれ、シミ
- 老化
年齢や病気の種類によっては、保険が適用されない場合があります。その場合、プラセンタ療法を自費で受けることが可能です。特に、美容目的で行う場合は自費診療となります。
■まとめ
プラセンタ治療は、更年期障害や美容の悩みに対して効果が期待される治療法です。プラセンタとは胎盤のことで、豊富な栄養素を含んでおり、細胞や組織の代謝を助け自然治癒力を高める効果があります。日本では、「メルスモン」と「ラエンネック」という2種類のプラセンタ注射薬が認可されています。
プラセンタ治療は、酸化ストレスの軽減や炎症の抑制、細胞の老化防止などの効果があり、更年期障害、肝機能障害、アレルギー疾患、慢性疲労、肌あれなどに対して有効です。治療を考えている方は、お気軽にご相談ください。自分の症状に合った、適切な治療法を見つけましょう。